The Fantasticks

Dec.3 2006 Snapple Theater Center,NY
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お帰り!『ファンタ』 たぶんたくさんの、この作品を愛する人々と同じ思いで目頭が熱くなった舞台。1960年5月から、42年のロングラン記録を打ち建て幕を閉じた、オフ・ブロードウェイミュージカルの再演だ。

ひと足先に観た友人からは、Sullivan St. Playhouse 時代の良さは変わっていないと聞いていたし、演出が作詞者であり、オリジナルキャストのTom Jones(この舞台でも老俳優ヘンリーを演じている)だというので危惧してはいなかったが、それにしても4年半の時を経て小屋が変わっても、ここまで雰囲気が変わらない作品は珍しいのではないだろうか?確かに古くさい部分もあるけれど、根っこに息づいているのは、永遠に変わらないテーマ「愛」そして「成長」なのだ。



f0031200_4343295.jpg【あらすじ】
お隣りに住むマットとルイザは恋人同士。しかしそれぞれの父親は犬猿の仲で、両家の間に壁を建てている。ところがこれは策略で、父親たちは大の仲良し。“若い恋人たちは、反対すればするほど燃え上がって旨くいく”という考えだ。

ある日、時が満ちたともうひと芝居。父親らは、エル・ガヨという役者を雇ってルイザを襲わせ、そこをマットに救わせて大団円!!。。かに見えたのも束の間。手に入ってしまった幸せは、真昼の光の下では、どうにも陳腐に見えしまう。暗い夜、月明かりの下で確かめ合った恋は、あんなにも神秘的だったのに。。!先日の誘拐劇も、実は父親らの仕組んだことだと知った2人は別れ、マットは旅に出る。また父親らもケンカ別れして、両家の間には再び壁が築かれてしまう。

時は流れ、世の中の辛酸を舐め舞い戻ったマット。エル・ガヨにだまされ、涙の苦さと孤独を知ったルイザ。粉雪舞う寒さの中で、1つの上着に肩寄せ合う2人。そこには暖かくて力強い、確かなものが育まれていた。


オープニングのピアノとハープの序奏から、エル・ガヨ(ここではナレーターの役)が語るように歌う♪Try to Remember では、いつもボロボロ感涙してしまう私。怪し過ぎだ(笑)。マイクを通さず生で聞くこの歌は、心の奥底にある懐かしいものを呼び覚まし、スウッと物語へ入っていくことができる。。とは言え、もちろんそれは役者の力量にもよるのだが。

今回のナレーター(&エル・ガヨ)役のBurke Mosesは、野性味あふれるタイプ。どちらかと言うと2枚目半?で(笑)、ニヒルでスマートなイメージではない(NY初演のジェリー・オーバックや、日本の歴代エルガヨは“そう”だった)。しかし、ウマイ!舞台が進むうちに、段々魅力的に見えてきたなぁと思ったら、何と『Beauty and the Beast』のオリジナルのガストンだという。

実は、4年前にもファンタを観に行っているのだが、クローズを惜しむファンの見守る中、決していい出来ではなかったのだ。ロングランを続ける中で、作品の質を落とさないのはどんなに難しいことだろう?特にオフの舞台のギャラは、驚くほど安いそうだから尚更だと思う。

しかし、この再演キャスト(8月のオープン当初とは少し変わっていた)のレベルは高いものだった。マットのDouglas Ullman,Jr.は、オープン時にはもの言わぬ壁(ミュート)を演じていて、それもまた魅力的だったそうだが、綺麗な顔立ちと10代の少年っぽい雰囲気がいい。ルイザのSara Jean Fordと共に、微笑ましいカップルだった(これ重要。もし2人が擦れたキャラだったら。。ねぇ?笑)。ただルイザのソロ♪Much Moreはさらっと歌い過ぎで、夢見る少女の奇妙な思考や個性が今ひとつ伝わってこなかった。

そして、やはりヘンリー役のトム・ジョーンズ(ここではThomas Bruceの名前で出演)の存在は大きく、もう一つの舞台の核に感じられた。

出演者は8人で、楽器はピアノとハープだけ。装置は野外劇の仮設テントのようだし(表が月で裏が太陽の、ボール紙の小道具が笑わせる。。)全てが素朴だ。だがそれ故に、舞台と客席が一体になって泣き笑い。幕が下りた後胸に残るのは、暖かくて切ない懐かしさ。そして誰かを愛したい気持ち。。。

“祖父母に親子、3世代に渡って愛され続けている”
“感謝祭からクリスマスの季節になると、人々が暖かさを求めて足を運ぶ”

ミュージカル。私もまた、ファンタに会いにいこう!

終演後、Broadway Cares(EFA)の寄付を募りにキャストがロビーに出てきていたので、ジョーンズ氏に声をかけてみた。

f0031200_3592187.jpg私が東京から来たと言うと、「サンシャイン(劇場)で公演したことがあるよ」
「その公演観ました。ファンタ大好きなの!」と言うと、「Katsuta(脚本・演出家の勝田安彦氏)を知ってるかい?来年東京で、彼が僕の新作をやるんだよ」

そうニコニコ話してくれた。


その『ハロルドとモード』は来月、東池袋の新劇場【あうるすぽっと】で上演 される。
これもまた、楽しみだ!
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