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Assassins

Assassins_f0031200_23491222.jpg『Assassins』 May 30 2006
Signature Theatre(Arlington,VA)

SignatureとStephen Sondheimの組み合わせ。
これはいつも強烈に感性を刺激される。深層心理に訴える何かがあるのだろうか?

Eric Schaeffer演出の 『Follies』、Gary Griffinの『A Funny Thing Happened...』(共に’03)(Pacific Overturesは難解なので不問・笑)
そしてこの、Joe Calarco演出の 『Assassins』

この劇場を起こして16年。ソンドハイムのほぼ全作品を上演しているという自負もあるだろう。何よりキャパ160の密接した空間では、時々、演出家の頭の中に迷い込んだような錯覚さえ起こる。

一昨年、B’wayのRoundaboutの同作品がとても気に入ったので、今回の期待度はまあまあ、というところだった。



横長に設置されたステージ(ここは、舞台と客席の配置が自在に変えられる)。
幕全面が一枚の星条旗でインパクトがある。会員以外は自由席だが、後方と1~3列目の両サイドが当てられていたので迷わずカブリツキ席へ(笑)。

オープニングナンバーの♪Everybody’s Got the Right が流れ幕がストンと落ちると、まるで鏡で映したかの様に、舞台上にも客席が。。!思わず笑いが起こる。
私も笑ったが、同時に涙がポロッ。。。ベタかもしれないけれど、この作品でこの演出!!
(いや、J.Calarcoはけっこうベタだろう。『Elegies』もそうだったが、発想が素直。昨年の『Urinetown』は未見だけど、さぞや楽しい演出だったろうと思う)

♪Aim for what you want a lot...Everybody gets a shot...
Proprietorが下手そでに立ち、目の前の私に歌いかける(しっかり目線が合っていて、ドキッ!とした)。

「舞台上の客席」にバラバラに座ったキャストたちは、自分の場面以外は映画か芝居を眺めているようにそこに居る。アサシン(暗殺者)たちが自らの経験を語る物語だから、特に装置は必要ないが、コンサートではないのでそこが演出家の腕の見せ所か。
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再三、この劇場の衣装・装置・照明の総合した美しさを語っているけれど、もちろん今回も素晴らしかった。テーマカラーが星条旗の赤・白・青で、Proprietorの持つ風船やキャストの衣装も、派手過ぎない品のいいこの3色だった。

Signatureの主要メンバーの1人 Will Gartshoreのブースは、高い志を持つ芸術家肌がよく出ていたけれど、ちょっと可愛らしい感じがする(前作の『Urinetown』のボビーのほうがピッタリでは?)。その他、全てのアサシンが実在の人物だけに、衣装や雰囲気だけで「ああ、この役は。。」と分かりやすい。

特に目が止まったのは、3人の女性たち。
「無政府主義でフェミニスト」のE.ゴールドマン(Kathryn Fuller)は静かだが力強い語りで、1人の青年の人生を変え導いていくカリスマ性を感じさせた。
フォード大統領暗殺未遂の2人は、唯一人に全てを投げ出すフロンム(Erin Driscoll)、5回の離婚を重ねるムーア(Donna Migliaccio)と対照的な恋愛経験を持ち、どちらも女ゆえの狂気を匂わせていた。

9人のアサシンが揃い、ラストナンバーが流れる。
 ♪Everybody’s got the right...to their dream.......“BANG!!”

銃砲のピリオドを放ったのは、1人の少年(やられた!そう来たかー!!)。
台本ではアサシン全員が撃つシーンだ。Roundabout版は、強烈なライトが夢と現実のラインを曖昧にしていたが、このSignatureの舞台はまぎれもない現実だ。
観客はアサシン1人1人に、自分の中にある闇の部分を見ていたのではないか?そして、未来を担う子供に銃を握らせたラストは、冷ややかな警告なのではないだろうか。。?
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