パッション・ダモーレ

とても濃いイタリア映画です。
始まりは静かで、単調ながらも、いつしか心の奥深くに染み込んでいる。
ただ消化するには時間がかかりそうな。。。そんな、壮絶な愛の物語です。



1980年製作のこの映画は、ミュージカル『Passion('94)』の原作。ソンドハイムがこの映画に惚れ込んで、ラパインと共に作り上げトニー賞を獲得したが、わずか9ヶ月でクローズ。その時の対抗作が、ディズニーのブロードウェイ初進出『Beauty and the beast』だったこと。またオープニングのベッドシーンの過激さなども、当時話題になった舞台だ。
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 【あらすじ】
 19世紀後半のイタリア。若く美しい将校のジョルジョは、愛し合う人妻クララと離れて
 国境警備の任務につく。そこで出会ったのは、上官の従妹のフォスカだった。

 病弱で醜いフォスカにつきまとわれ、悪夢にうなされて、彼もまた病に侵されていく。
 しかし全てを投げ出して愛を乞うフォスカを、いつの間にか愛し始めていたジョルジョ。
 2人を引き引き離す死の影は、すぐそこまで忍び寄っていた。

舞台と映画共に、極端に好みが分かれる類いの作品だろう(好きな人が少数派・笑)。
いや、もしかしたら“アモーレ・ミーオ!” と熱く愛を語る国イタリア(共同製作のフランス然り・笑)では大ヒットしたかもしれない。

私は少数派らしく(笑)NYの舞台は2週間で3回観劇。雪の中出待ちもした。
ロンドン(WE)でも観ているが、それでも計4回。イギリスで300回!!観た人がいると知ってクラクラしたけど(笑)それは熱狂的ファンを持つアクター、Michael Ballゆえだろう。

作品の性質上上演される機会は少ないが、幸い2つの舞台の映像があるので(1つはOBC)私は3つのプロダクションを知っている。

映画の中の“若く瑞々しい恋人たち”は、WEの2人(マイケルB.とHelen Hobson)を彷彿とさせるし、真っ直ぐな青年を演じたマイケルが主役だったことも納得。WEの方が、より映画に近いものだったと思う。
B'Wayでは主役だった 、フォスカのDonna Murphyに惚れた私。オリジナルはこちらなので、ソンドハイムが描きたかったものは、より成熟した“パッション”なのだろう。
ジョルジョがフォスカに愛を告げる台詞 「I Love you, Be Calm...Strong! I am your's」 に全ての想いが凝縮されていて切なかった。

f0031200_1105025.jpg私にとっては舞台が先なので、あれこれ比べてしまったけれど、映画も悪くない。

ジョルジョを演じたBernard Giraudeauは、ヒュー・ジャックマンや70年代のに○きのあきら(笑)にも似たハンサムさん。軍服がとてもよく似合って色気がある。

フォスカ(Valeria D'obici)はかなりホラーが入っているが(怪演!舞台で一番近いのはPatti LuPoneだった・笑)恋に一喜一憂する様は、いつの間にかキレイに見えてくるから不思議だ。


そして、クラシックな雰囲気を醸し出す映像が美しい。将校らが集まるサロンの背景―大きな硝子窓の向こうは階段で、その上に住むフォスカのミステリアスさを演出。山に囲まれた城跡の駐屯地は、閉鎖的で重苦しい空気を感じ取ることができる。

舞台には無かったラストは、物語の5年後。酒場で思い出を語るジョルジョは、落ちぶれて見る影もない。話を聞いていた不気味な小男は、皮肉を投げつけて去っていく。
「もしフォスカが絶世の美女で、あんたが俺のようだったらどうなったね?」と。 とてもイタリア的で、不思議な感情が残った。
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